「うっかり日焼け」は許されない

「うっかり日焼け」というものは、毎年たくさん見かける。うっかリビーチパラソルの下で寝てしまったら、ひどい日焼けになったとか、曇っていたので日焼け止めを塗らずにキャンプをしていたら、あとがら顔がひりひりして真っ赤になった、などのケースである。

「うっかリ日焼けをした場合は、どうすればよいか」という質問をよく受けるが、基本的にはどうしようもない。どうしようもないというのは、日焼けした肌のダメージを完全に回復する方浩は、残念ながらないということである。

天日干しにした干物を、生の魚に戻すことがで吉ないのと同じである。

もちろん、ヒリヒリして火傷のようになった場合は、冷やすなどの応急処置をした方がよい。さらに、広範囲に水庖がで吉たりした場合は、皮膚科へ行って塗り薬などをもらうべきである。

でもそれは火傷の治療であり、紫外線による肌老化を回復してくれるものではない。

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白肌を守るためのパウダー活用法

日々の外出(日光に当たる時間)が2時間以下の人であれば、普段は日焼け止めは塗らないで、ファンデーションだけ塗っていれば十分である。

それもリキッドファンデーションよりは、パウダーの方がさらに肌にやさしいので毎日使うにはおすすめである。

あまりメイクをしたくない人は、白粉で、あまり色のつかないもの(ルースパウダーやフィニッシュパウダーなどという名で売られている)を使うとよい。

これらを使った場合は、クレンジングもしなくてよいから肌への負担は少ない。極端に敏感肌の人の場合は、この方法がUV対策としては一番よい。

シミは頬骨の高い部分から真っ先にできることが多いので、この部分に若干厚めにパウダーをのせるようにするとなおよい。汗などで崩れたら、もちろんつけ直すことが大事である。

リキッドファンデーションは、水を含むので防腐剤や界面活性剤などの添加物を含むものが多い。これらを毎日使うと、少しずつ肌を荒らす場合がある。

パウダーなどの固形物の方が、一般的にいって添加物は少ないので、肌への負担は少ない。

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日焼け止めは「一長一短」

これまで述べてきたように、日焼け止めは、いろいろな問題点をかかえている。薄く塗れば効果がないが、厚塗りをすれば毛穴をふさいでしまう。

紫外線吸収剤はかぶれやすいが、散乱剤は白っぽくなる。汗でくずれると効果が落ちるが、ウォータープルーフは落ちにくいので肌が傷む。どれも一長一短である。

紫外線はもちろん肌に悪いが、日焼け止めもいろいろ問題があるので、うまくバランスをとって使わないといけない。使えば使うほどよいというものでもない。

最近はノンケミカルで優秀なものが出てきているから、使うならばそれらがよいが、それとても毎日顔に塗りたくってよくはない。

そこでおすすめしたいのが、パウダーファンデーションや白粉である。これらの肌色の粉には、紫外線を防ぐ効果がある。

いろいろなメーカーのものがあるので一概には言えないが、きちんと塗れば、SPF20くらいの効果は出るものが多い。特にSPF表示がない ものでも、である。

粉類は、肌にのせても中に吸収されるわけではないので、かぶれなどは起こしにくく、毎日塗っても肌への負担は少ない

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SPF20と50はどの程度違うのか?

もうひとつ、日焼け止めについて驚愕の事実がある。

SPF20のものと50のものは、その効果には大差がないということである。紫外線防御力でいうと、SPF15以上のものは、これもほとんど変わらない。

どういうことかというと、例えばここにあるSPF20の日焼け止めは、紫外線の96%を遮断するとしよう。一方、SPF50の日焼け止めは、98%を遮断するとしよう。96も98もあまり変わらないような気がするが、透過してくる紫外線の量で見ると、4%と2%と倍も違う。この差が、SPFの差として表れてくるのである。

一時、SPF100などというものも出たが、上限が50に制限されるようになったのはそのような理由から、すなわち「数値が大きくなっても効果はあまり変わらないから」ということである。

薬局やデパートで売られている日焼け止めのほとんどはSPF15以上だから、日焼け止めの効果はほとんど同じということになる。

同じようなものでも、「肌にやさしい」というイメージで売りたい場合は15くらいに表示し、「最強」というイメージで売りたい場合は50などと表示されているというのが実情である。

ただし、50など、強めのものは主にスポーツ用やリゾート用なので、耐水性が強いなどの違いはある。

また、15などの弱めの表示がされているものは、敏感肌の人が使うことが多いから、添加物などもおさえめで、低刺激に作られているものが多い。

このような事情があるから、SPF値の高いものを使うとかぶれる人が多いのである。

日焼け止めを選ぶ場合、SPF値にはあまりこだわらず、肌への優しさを考慮において選ぶべきだということになる。

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SPF値の落とし穴

「きちんと対策していたつもりなのになぜかシミが…」そういうショックを受ける人は、日焼け止めのSPF値を過信していた人に多い。

SPF値は2~50までの数値で表され、数値が高いほど紫外線B波の防止効果が高い(50以上のものは50と表示される)。

例えば20というと、何も塗らない状態に比べて20倍日焼けしにくいということを示す。20倍というと、大変な数値である。ましてや50管ともなると、ほとんど日焼けなどしないというイメージを与える。

しかし、ここで忘れてはならないのは、SPF値というのは、日焼け止めを1平方センチメートルあたり2ミリグラム塗ったときの数値として測定されているということである。

塗る量によって紫外線防止効果が違うのは当然のことで、規定量より少なく塗れば、当然効果は下がる。

平均的に、女性が日焼け止めを塗る場合、この5分の1程度しか塗っていないといわれる。逆にいうと、普段使う量の5倍は塗らないと、期待通りの効果は出ないということになる。

だから、「日焼け止めだけほとりあえず塗っています」という人に限って、40代くらいになるとシミが大量発生するのである。

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日焼け止めを塗ってもシミができる理由

雑誌などで、毎年、春頃になるとシミや紫外線対策の特集が組まれる。

そのような記事の取材を受けると、決まって聞かれることがある。「日焼け止めは、一年中塗った方がよいのですか」「日焼け止めは、どうやって選べばよいのですか」…。

これらの質問を受けていつも困ってしまうのは、これらの質問自体がすでに、「日焼け止めを塗れば紫外線は防げる」という前提に立っていることである。

確かに、「日焼け止め」という名前からして、そういう期待を抱かせるものではある。でも実際は、日焼け止めだけを塗って生活していると、大量のシミができることが多い。それは、次項のような事情による。

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侮れない生活紫外線

「特に日焼けした覚えもないのに、どんどんシミができてくるんです」と、40代以上の女性はよくおっしやる。「日焼け」という言葉は、やはり子供の頃のような日焼けを連想させる。

赤くなってほてった日焼け後の肌…、そんな夏の記憶は、誰にでもあるだろう。でもそんな日焼けは、大人になるとほとんどしない。それでも、シミはどんどんできてくる。

それは、前述のように、毎日のちょっとした紫外線貯金がたまっていくからである。

例えば、寒い冬の朝。ゴミを出しに、集積所まで走る。その間にも紫外線貯金はたまって いく。紫外線は、冬でも、曇りの日でも、毎日ぶりそそいでいるからである。

このような、いわゆる「生活紫外線」と呼ばれるものは、ばかにできない量である。

主婦が、―週間(晴天が続いた場合)に浴びる生活紫外線は、真夏に海水浴で1時間に浴びる紫外線量と変わらないというデータもある。

ノーケアで買い物に行ったり洗催物を干したりしていると、毎週海水浴に行っているのと同じということになる。そうしてたまった貯金が、いっぱいになって溢れ出すのが40代くらいであることが多い。

そこから先は、洪水のごとくシミが溢れてくる。だからシミは、いわゆる「日焼け」をしなくてもできるわけてある。「日焼け」と認識するほどでもない、日々の微量の紫外線こそがシミの元凶なのである。

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シミは突然溢れ出る

日焼けすると肌が真っ黒になる。その日焼けがひいていったとき、その黒さの一部が残ってシミになるのだと考えると、確かにとてもわかりやすい。でも、本当にそうだろうか。

20歳くらいまでは真っ黒に日焼けすることもあるけれど、年齢が進むと極端な日焼けはあまりしなくなる人が多い。でも、40代にもなれば、ほとんどの人にシミができる。

海なども、もう何年も行っていない人でも、毎年どんどんシミができる。

シミといってもいろいろな種類かおり、でき方もいろいろである。紫外線だけでなく、ホルモンなどもシミの発生に関係している。

ただ、当院の外来で、女性が「シミができました!」と訴えてくる場合、ほとんどは「老人性色素斑」というシミである。

これは、主に毎日の紫外線の積み重ねで、皮膚が少しずつ変化してできたものと考えてほしい。

 老人性色素斑を顕微鏡で見てみると、皮膚の中でメラニンが増えているだけでなく、表皮全体が厚くなるなど、皮膚の形自体も若干変化してしまっているのがわかる。

生まれたときから浴びた紫外線は、皮膚の中に少しずつダメージを与え、そのダメージはすべて蓄積されていく。 それがあるレベルを超えたときに、老人性色素斑が発生する。

ちょうど皮膚の中に紫外線貯金箱があって、紫外線が毎日貯金されていくようなものである。 貯金箱がいっぱいになると、突然溢れ出してシミができる。

だからほとんどの人が、「突然できた」と訴えてくることが多い。今、肌がきれいでも、紫外線の貯金箱はギリギリまできているかもしれない。

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紫外線は骨のために必要か

骨を丈夫にするために、紫外線を少し浴びないといけないと思っている人は多い。確かに骨と紫外線は関係あるが、そのために必要な紫外線はごく微量であり、わざわざ浴びる必要はない。

日焼け対策をしても少しは浴びてしまうものなので、それで充分である。

骨にカルシウムを沈着させるためには、ビタミンDが必要である。ビタミンDは紫外線で活性化されて骨に作用することが知られているが、活性型ビタミンDはサプリメントでも摂ることができる(市販のカルシウムのサプリメントには、ほとんど活性型ビタミンDが入っている)。

女性の骨が弱くなる、いわゆる「骨粗しょう症」の原因は、ほとんどの場合、日光不足でもカルシウム不足でもなく、女性ホルモン(エストロゲン)の低下と運動不足である。

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日焼けは、老化と皮膚ガンのもと

きれいに日焼けした小麦色の肌は、とても健康的に映る。
でも実際は、日焼けは老化と皮膚ガンのもとであり、健康的要素は何もない。紫外線は、肌にとって「百害あってー利なし」と考えていただきたい。できるだけ浴びないにこしたことはないのだ。
屋外のスポーツなどは、確かに健康にとてもよいが、日焼けそのものが良いわけではないのだ。最も健康に良いのは、日焼け対策をばっちりして、外で体を勤かすことである。
最も健康に悪いのは、運勤しないで日焼けだけをすること、例えば、日焼けサロンで焼くこと、また、海やプールに行って甲ら干しだけをすること、などである。

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