2011年4月

日焼け止めを塗ってもシミができる理由

雑誌などで、毎年、春頃になるとシミや紫外線対策の特集が組まれる。

そのような記事の取材を受けると、決まって聞かれることがある。「日焼け止めは、一年中塗った方がよいのですか」「日焼け止めは、どうやって選べばよいのですか」...。

これらの質問を受けていつも困ってしまうのは、これらの質問自体がすでに、「日焼け止めを塗れば紫外線は防げる」という前提に立っていることである。

確かに、「日焼け止め」という名前からして、そういう期待を抱かせるものではある。でも実際は、日焼け止めだけを塗って生活していると、大量のシミができることが多い。それは、次項のような事情による。

侮れない生活紫外線

「特に日焼けした覚えもないのに、どんどんシミができてくるんです」と、40代以上の女性はよくおっしやる。「日焼け」という言葉は、やはり子供の頃のような日焼けを連想させる。

赤くなってほてった日焼け後の肌...、そんな夏の記憶は、誰にでもあるだろう。でもそんな日焼けは、大人になるとほとんどしない。それでも、シミはどんどんできてくる。

それは、前述のように、毎日のちょっとした紫外線貯金がたまっていくからである。

例えば、寒い冬の朝。ゴミを出しに、集積所まで走る。その間にも紫外線貯金はたまって いく。紫外線は、冬でも、曇りの日でも、毎日ぶりそそいでいるからである。

このような、いわゆる「生活紫外線」と呼ばれるものは、ばかにできない量である。

主婦が、―週間(晴天が続いた場合)に浴びる生活紫外線は、真夏に海水浴で1時間に浴びる紫外線量と変わらないというデータもある。

ノーケアで買い物に行ったり洗催物を干したりしていると、毎週海水浴に行っているのと同じということになる。そうしてたまった貯金が、いっぱいになって溢れ出すのが40代くらいであることが多い。

そこから先は、洪水のごとくシミが溢れてくる。だからシミは、いわゆる「日焼け」をしなくてもできるわけてある。「日焼け」と認識するほどでもない、日々の微量の紫外線こそがシミの元凶なのである。


シミは突然溢れ出る

日焼けすると肌が真っ黒になる。その日焼けがひいていったとき、その黒さの一部が残ってシミになるのだと考えると、確かにとてもわかりやすい。でも、本当にそうだろうか。

20歳くらいまでは真っ黒に日焼けすることもあるけれど、年齢が進むと極端な日焼けはあまりしなくなる人が多い。でも、40代にもなれば、ほとんどの人にシミができる。

海なども、もう何年も行っていない人でも、毎年どんどんシミができる。

シミといってもいろいろな種類かおり、でき方もいろいろである。紫外線だけでなく、ホルモンなどもシミの発生に関係している。

ただ、当院の外来で、女性が「シミができました!」と訴えてくる場合、ほとんどは「老人性色素斑」というシミである。

これは、主に毎日の紫外線の積み重ねで、皮膚が少しずつ変化してできたものと考えてほしい。

 老人性色素斑を顕微鏡で見てみると、皮膚の中でメラニンが増えているだけでなく、表皮全体が厚くなるなど、皮膚の形自体も若干変化してしまっているのがわかる。

生まれたときから浴びた紫外線は、皮膚の中に少しずつダメージを与え、そのダメージはすべて蓄積されていく。 それがあるレベルを超えたときに、老人性色素斑が発生する。

ちょうど皮膚の中に紫外線貯金箱があって、紫外線が毎日貯金されていくようなものである。 貯金箱がいっぱいになると、突然溢れ出してシミができる。

だからほとんどの人が、「突然できた」と訴えてくることが多い。今、肌がきれいでも、紫外線の貯金箱はギリギリまできているかもしれない。


紫外線は骨のために必要か

骨を丈夫にするために、紫外線を少し浴びないといけないと思っている人は多い。確かに骨と紫外線は関係あるが、そのために必要な紫外線はごく微量であり、わざわざ浴びる必要はない。

日焼け対策をしても少しは浴びてしまうものなので、それで充分である。

骨にカルシウムを沈着させるためには、ビタミンDが必要である。ビタミンDは紫外線で活性化されて骨に作用することが知られているが、活性型ビタミンDはサプリメントでも摂ることができる(市販のカルシウムのサプリメントには、ほとんど活性型ビタミンDが入っている)。

女性の骨が弱くなる、いわゆる「骨粗しょう症」の原因は、ほとんどの場合、日光不足でもカルシウム不足でもなく、女性ホルモン(エストロゲン)の低下と運動不足である。


日焼けは、老化と皮膚ガンのもと

きれいに日焼けした小麦色の肌は、とても健康的に映る。 でも実際は、日焼けは老化と皮膚ガンのもとであり、健康的要素は何もない。紫外線は、肌にとって「百害あってー利なし」と考えていただきたい。できるだけ浴びないにこしたことはないのだ。 屋外のスポーツなどは、確かに健康にとてもよいが、日焼けそのものが良いわけではないのだ。最も健康に良いのは、日焼け対策をばっちりして、外で体を勤かすことである。 最も健康に悪いのは、運勤しないで日焼けだけをすること、例えば、日焼けサロンで焼くこと、また、海やプールに行って甲ら干しだけをすること、などである。